Clinical Question:がん終末期消化管閉塞におけるオクトレオチドの有用性

YUMINO education program2024年11月21日

〇嘔気・嘔吐の対応について 
癌終末期において、嘔気・嘔吐症状が出現することがあります。まずその嘔気・嘔吐の原因の精査が重要です。鑑別としては、薬物(化学療法の副作用など)・高カルシウム血症・脳転移・便秘症・リンパ節刺激・胃十二指腸潰瘍・上部/下部消化管閉塞が挙がります。消化管閉塞の有無でまず評価を行い、消化管閉塞がない場合には一般的な制吐薬・ステロイドを使用します。 

〇上部消化管閉塞の場合 
完全閉塞している場合は、原則経鼻胃管によるドレナージが第一選択となります。しかし在宅診療の場合は経鼻胃管を留置した際のレントゲン確認ができないため現実的ではないと考えます。その他選択肢としては、①ステロイド②H2ブロッカーor PPI③制吐薬(完全閉塞の場合はプリンペランは禁です)となります。 

〇下部消化管閉塞の場合 
1.ステロイド 
2.H2ブロッカーor PPI 
3.消化管分泌薬:オクトレオチド・ブスコパン。 

オクトレオチドを使用する場合は200-300μg/dayを投与し、投与して3日目頃から効果が見られることが多いとされています。5日目になって改善がない場合には中止とします。 
消化管閉塞全体を対象としたRCTでが、オクトレオチドがブスコパンよりも有意に良い効果が認められたと報告されています。
 

〇オクトレオチドについて 

・適応疾患: 
消化管ホルモン産生腫瘍(VIP産生腫瘍、カルチノイド腫瘍、ガストリン産生腫瘍)、先端巨大症、進行再発癌患者の緩和医療における消化管閉塞 

・消化管への作用機序: 
1.消化管ホルモンの分泌を抑制し、腸液の分泌を減少させる。 
2.小腸での水分・電解質の分泌を抑制し再吸収を促進させる。 
3.小腸の蠕動運動を改善させる。 
4.蠕動運動の改善により腸内細菌の異常増殖を抑制し、ガス発生を抑制する。

オクトレオチドについての論文を下記に記します。 

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在宅診療においてもオクトレオチド(皮下注射)を使用することは可能であり、上記報告にも記載があるが、癌終末期における消化管閉塞に対してオクトレオチドは有用と考える。当院でも数例オクトレオチドの使用経験があるが、いずれも有用であり少量でも経口摂取を継続することが可能であった。 

 

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