心臓病予防アクション:食事編

心臓病予防2024年08月23日

食事は心臓病予防において非常に重要な役割を果たします。健康的な食生活を維持することで、動脈硬化の進行を抑え、血圧やコレステロールの改善に寄与し、心筋梗塞や脳卒中のリスクを低減することができます。特に、野菜や果物、魚、全粒穀物を中心としたバランスの良い食事が推奨されています。 

まず、塩分の摂取を控えることが高血圧予防の基本です。加工食品や外食に多く含まれる塩分を減らし、できるだけ自宅で調理した食事を摂るよう心がけましょう。次に、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を減少させるためには、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂取を控え、オリーブオイルやナッツなどの不飽和脂肪酸を多く含む食品を選ぶことが大切です。 

ここで、和食について考えてみましょう。和食は、野菜、魚、大豆製品、発酵食品、そして海藻類を多く摂取する伝統的な食事スタイルであり、心臓病予防に効果的とされています。特に、厚生労働省のデータによると、和食を基盤とする食事スタイルを維持する人々は、心血管疾患の発症リスクが約30%低いという研究結果が出ています。また、和食は食物繊維やビタミン、ミネラルを豊富に含み、塩分管理に気を付けることで、血圧管理にも有効です。たとえば、魚に含まれるオメガ3脂肪酸は、心筋梗塞のリスクを低減することが知られており、週に2回以上の魚の摂取が推奨されています。また、発酵食品(味噌、納豆など)は腸内環境を整え、全身の炎症を抑制する働きがあるため、心臓病予防に繋がる可能性が高いとされています。 

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また、地中海食も注目されています。地中海食は、野菜、果物、魚、オリーブオイル、全粒穀物、ナッツを中心とした食事スタイルであり、心血管疾患予防において世界的に高く評価されています。特に、地中海食を実践する人々は、心筋梗塞や脳卒中のリスクが最大30%まで低減することが、多くの臨床試験で確認されています(例:PREDIMED試験等)。地中海食の特徴であるオリーブオイルは、不飽和脂肪酸を豊富に含み、LDLコレステロールを低下させる効果があります。また、赤ワインを適量摂取することも、心臓病リスクを低減する可能性があるとされていますが、過剰摂取は逆にリスクを増加させるため、節度ある飲酒が重要です。 

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和食と地中海食の両方は、自然食材を使用し、加工食品を避ける傾向があり、心臓病予防に効果的であると考えられています。これらの食事パターンを参考にしつつ、自分に合ったバランスの良い食生活を心がけることが、健康な心臓を維持するための鍵となります。 

食事療法は単なる食事の改善ではなく、生活全体の質を向上させる手段です。無理のない範囲で少しずつ健康的な食事を取り入れ、心臓病予防に取り組みましょう。 

 

医療法人社団ゆみの
循環器予防医療部 部長 

土肥 智貴 

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