Clinical Question:在宅医療の 日本とアメリカの違い
日本とアメリカの在宅医療の在り方には違いがある。
その背景には医療制度の違いが影響している。
日本は医療保険は国民皆保険となっているが、アメリカはメディケア(対象者:65歳以上の高齢者、障害者、透析患者)、メディケイド(対象者:低所得者)の2種類のみであり、対象外の国民で保険に入りたい人は民間の保険会社で保険に入ることになる。
上記公的保険制度の対象であったとしても入院や入所には高額な費用がかかるため、日本よりも在宅医療が選ばれやすい傾向にあるが、アメリカには日本の介護保険のような制度もなく、在宅で過ごす時も生活支援は家族やボランティアが行うことがほとんどである。
アメリカでは在宅医療において訪問の主体は看護師であり、医師が訪問することは非常に少ない。
ホスピスケアという制度があり、余命6か月以内と医師に診断された患者は、医療・介護費用を全てメディケアから給付をうけることができ、ホスピスケアは入院だけではなく在宅で多く行われている。こちらも看護師が中心になってチームが組まれ訪問する。
ホスピスケアを受けられるのは癌患者だけではなく、認知症、心不全、呼吸器疾患など様々な疾患が対象になる。
(引用元:NHPC NHPCO Facts and Figures Facts and Figures 2023 edition, Who Receives Hospice Care?より)
日本とアメリカの在宅医療の違いは背景の医療保険制度が根本的に異なることが影響している。
日本の医療保険制度にも様々な問題があると思われるが、アメリカに比べると医療保険・介護保険が整備されており比較的一律に医療を受けることができる。
のぞみハートクリニック
松岡 玲子