Clinical Question:高齢心不全患者へのSGLT2阻害薬
- SGLT2阻害薬は心収縮能が低下した心不全(HFrEF)の治療において、ACE阻害薬/ARB、β遮断薬、MRAと並んで"fantastic four"と呼ばれる心不全治療薬の柱としての地位を確立している。
- 昨年のEMPEROR-Preserved試験(エンパグリフロジン;N Engl J Med 2021; 385:1451-1461)、本年5月プレスリリースされたDELIVER試験(ダパグリフロジン;Eur J Heart Fail 2021;23:1217-1225)において、HFpEFに対して有効性が確認された。
- SGLT2阻害薬はブドウ糖を尿中に排出するメカニズムを有するため、高齢心不全患者においてサルコペニアが懸念されるが、SGLT2阻害薬とサルコペニアの関連については一定の見解は得られていない。
- 今回のEMPEROR-Preserved試験のサブ解析ではHFpEFにおいては年齢に関係なく心血管死亡+心不全入院を抑制し、高齢者でも有効性が減弱しないことが示されました(図、J Am Coll Cardiol 2022;80 :1-18)。
- HFrEF、HFpEFいずれにおいても高齢心不全患者に対してはSGLT2阻害薬を使用するべきかもしれない。
わかばハートクリニック
武居 講