Clinical Question:飲酒と健康

YUMINO education program2022年05月20日

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  • これまで少量の飲酒は循環器疾患に対して予防的に作用するとされてきた。
  • 日本の研究でも機会飲酒をする人ががんの罹患や死亡のリスクが低いとする報告がある(Brit J Cancer 2005; 92: 182)。
  • しかし、これらの研究データは歴史的にアルコール消費レベルは自己報告に基づいたデータに依存してきた背景があり、バイアスがあるため多国間の研究では信頼性が乏しいことが問題であった。
  • 近年、少量の飲酒でも相対的な健康リスクは上昇することを示す論文が多く出版されるようになっている。上図は2018年にLancetに掲載された195か国でのアルコール消費量と健康リスクを分析したものである。飲酒は糖尿病や循環器疾患に一定のリスク低減の要素はあるものの、飲酒ゼロと比較すると少量の飲酒でも健康リスク(特にがん)が上昇することが示されている。
  • また、最近日本からの報告でも飲酒を継続することで発がんリスクが上昇することが示された(Cancer 2020;126:1031-1040.)。
  • WHOのAction Planでは'健康に有害または社会的に影響を及ぼすような飲酒'は減らすことが推奨されている。また日本でも健康日本21でも「節度ある適度な飲酒」が推奨されている。
  • 飲酒は近年、健康に害を及ぼすものとして認識されつつある。一方でリラックス効果やコミュニケーションを円滑にする効果もあるのは事実である。WHOや日本でも飲酒は禁止されているわけではない。周囲に迷惑をかけない「節度ある飲酒」を心掛けながら飲酒と向き合っていくことが必要である。

 

のぞみハートクリニック

菊地泰基

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