Clinical Question:便秘症の治療
便秘症の定義: 本来、体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態
便秘症により、生存率低下や静脈血栓症発症リスクがあがるという報告もある。
「たかが便秘」ではなく、適切な治療介入が大切。
治療に際しては
① 大腸がん(器質性・狭窄性)、内分泌疾患に続発する便秘の除外
② 薬剤誘発性が疑われる場合は変更可能な薬剤がないかの検討
③ 排便回数減少型なのか、排便困難型なのかの判別
上記のうえで、使用する薬剤を決定
薬の役割、種類
- 軟便化
◍浸透圧性下剤 {塩類:ex.酸化マグネシウム、糖類:ex. D-ソルビトール/モニラック(ラクツロース)、ポリエチレングリコール:ex. モビコール)}
◍上皮機能変容薬 {ex. ルビプロストン(アミティーザ)、リナクロチド(リンゼス)}
- 蠕動運動促進
◍浣腸・坐剤 {ex. 新レシカルボン坐剤、ピザコジル坐剤(テレミンソフト)、グリセリン浣腸}
◍刺激性下剤 {ex. プルゼニド(センノシド)、アローゼン、ピコスルファートナトリウム(ラキソベロン)}
- 膨潤化
◍膨張性下剤 {ex. ポリカルボフィルカルシウム(ポリフル、コロネル)}
- 軟便化+蠕動運動促進
◍胆汁酸トランスポーター阻害薬 {ex.グーフィス}
<まとめ>
- 患者さんが言う「便秘」という言葉が何を意味しているか、を読み解くことが大切
- 排便困難型の患者に大腸刺激性下剤を使用していないか確認
- 排便回数減少型が疑われる場合は食物繊維摂取量を確認し、不足している場合は食事指導、または、コロネル、ポリフルのように膨張性下剤で便の量を増やすことを検討
のぞみハートクリニック
萬谷 薫