Clinical Question:膀胱洗浄の意義と方法
膀胱洗浄
- 長期尿道カテーテル留置患者における膀胱洗浄の是非に関しては、行うべき/行うべきではない、双方の立場があり、泌尿器科専門医の中でもコンセンサスが得られていません。
- 膀胱洗浄が尿路感染症の予防には寄与しないことがわかっており、各種ガイドラインでも、感染予防目的の定期的な膀胱洗浄は推奨されていませんが、血尿や尿砂・膀胱結石などによる閉塞を反復する場合には、閉塞解除目的に行っても良いとされています。
- 尿中浮遊物・結晶結石のカテーテル沈着の原因は、尿中にあるたんぱく質(粘膜などの落屑など)に細菌が繁殖することによって発生すると言われており、ウレアーゼ産生菌(proteus mirabilis.など)感染が原因とされています。ウレアーゼ産生菌は尿中でアンモニアを形成し尿がアルカリ化することで尿素が分解され結晶化します。またバイオフィルムを作成するため抗菌薬が浸透しにくくなりproteus mirabilis.が尿路に定常的に存在するようになります(細菌尿の存在)。結晶とバイオフィルムの混合が砂状に蓄積し、尿砂や膀胱結石となり、膀胱内に停留したり、カテーテル内に結晶として沈着するようになります。
- バイオフィルムや結晶が形成される前にproteus mirabilis.を検出し、しっかり尿中から細菌を排除するのが大切です。すでに感染を繰り返している場合には、尿のPHを酸性に傾ける、尿量を保つ、閉塞前に尿道留置カテーテルを交換するなどの対策をとります。
- それでも閉塞してしまう場合には、閉塞解除目的に膀胱洗浄を行います。その際には逆行性感染を防ぐために、3wayカテーテルによる持続的灌流が望ましいとされています。
ゆみのハートクリニック渋谷
山上文