Clinical Question:在宅診療における骨粗鬆症治療戦略
2015年骨粗鬆症の予防と治療のガイドラインに準拠すると、(原発性)骨粗鬆症の診断には、脆弱骨折の既往の有無のほかに、骨密度の評価が必要とされている。
しかしながら、在宅診療の対象となっている患者の多くの活動度は低下している。
このような患者が、病院・診療所に受診し、骨密度検査を受けること自体が難しいことがしばしばあるため、当院では、骨粗鬆症の治療方針決定に際して、WHO骨折リスク評価ツール(FRAX®)を積極的に使用している。
FRAX®は世界のコホート研究のメタアナリシスから得られた危険因子を用い、骨折高リスク者を判別し、治療介入の指標を用いるものである。FRAX®には、現時点でいくつかの限界があるものの、簡便な方法で、骨折を起こす高リスク者を判別できる。
具体的には、PS (Performance Status)が2 - 3程度の最も転倒リスクの高い患者で、FRAX®が高い(10年間の骨折確率 [主要骨折]が15%以上)方の治療の必要度が最も高いと考え、ビスホスホネート製剤ないしデノスマブに加えてビタミンD製剤の使用を行っている。
のぞみハートクリニック
嶋村 邦宏