Clinical Question:早期パーキンソン病の薬物治療

YUMINO education program2021年08月13日

  • パーキンソン病の症状は、運動症状 [4大症状] 無動・振戦・筋強剛・姿勢保持障害、非運動症状(睡眠障害、精神・認知・行動障害、自立神経障害、 感覚障害(嗅覚障害))がみられる。非運動症状は20年以上前から出現するものもある。

 

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  • 病勢の進行そのものを止める治療法は現在までのところ開発されていない。全ての治療は対症療法である。
  • 現在大きく分けて8グループの治療薬が使われている。それぞれに特徴があり、必要に応じて組み合わせて服薬する。パーキンソン病治療の基本薬はL-dopaとドパミンアゴニストである。このふたつの基本薬を年齢や運動合併症のリスクなどから考えて基本薬を選択し、症状をみながら色んなタイプの薬の組み合わせで各患者さんに合わせて調整していく。
  • 65歳以上の発症の場合は、ドパミンの前駆体であるL-ドパによるドパミン補充療法を開始することを推奨している。若年発症で運動合併症の発現リスクが高いケースにでは、ドパミンアゴニストあるいはモノアミン酸化酵素B(MAO-B)阻害薬を選択することを推奨している。
  • ドパミンの前駆体であるL-ドパ補充療法は運動症状に対して有効的である。
    しかし、L-ドパは長期使用に伴う薬効減弱、薬効時間の短縮(wearing off)やジスキネジアの運動合併症の発現が高頻度にみられることが問題。
  • また、パーキンソン病では、セロトニンやノルアドレナリンという神経伝達物質も減少しているとされ、抑うつ症状を起こしやすくさせるとされている。以前できていたことができない、自分がパーキンソン病であることを受け入れられない、パーキンソン病が進行することで将来が不安などの理由が抑うつ症状につながっているとされる。
  • 2002年の国際調査では、パーキンソン病患者の QOL を決定する最大の因子は運動症状の重症度や治療ではなく、うつであるとされた。
  • うつに対しての治療としてまずやるべきは、パーキンソン病についての正しい理解を進めること、また適切な治療によりパーキンソン症状を改善することが極めて重要となる。ただし希死念慮が著しい場合には、迷わず精神科医にコンサルトする
  • これまでに有用性が認められているのは、三環系抗うつ薬(ノルト リプチリン,アミトリプチリン)、SSRI(セルトラリ ン,フルボキサミン)、ドパミンアゴニスト(ペルゴ リド、プラミペキソール)がある。ドパミンアゴニストに関しては、D3受容体に親和性の高い薬剤の有用性が報告されている。
    ただしノルトリプチリン以外、明確に有効性を 示す論証はなく、三環系抗うつ薬は錐体外路系の副作用に注意が必要である。
  • パーキンソン病の薬物調整は難しいことも多く、早期に専門医への相談が望ましい。

 

のぞみハートクリニック

萬谷薫

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