Clinical Question:認知症患者と向き合う診療(関わり方の大切さ)

YUMINO education program2021年08月20日

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2021年6月8日 米国FDAは、脳内のアミロイドβを減少させアルツハイマー型認知症(AD)を治療する薬としてアデュカヌマブを迅速承認した。臨床試験においても、脳内のアミロイドを減らすだけでなく、認知症の臨床的評価項目についても改善が見られ有効性が期待されている。一方、ADの原因となる病態そのものに不明確な部分もあり、日本での承認には慎重な意見も多い。

 

現状では認知症は根本的な解決策はなく、認知症の患者を診察していく上では、周辺症状BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)への対応がもっとも重要な位置づけにある。

 

認知症の症状の中心は、言語によるコミュニケーションの障害であり、思いを言葉で介護者に伝えることができない。

しぶしぶ指示に従ったり、(できない事を)謝ったり、物のせいにしたり、黙る・独り言を言うなどの行動の中には、相手の対応に対する不同意メッセージが込められていることがあり、そのことを気に留めず、見落としていると、介護拒否や暴言、暴力、妄想、徘徊等のBPSDが顕在化することが多いと言われる。

水面下にある本人の思いをくみ取る、その手段として『ひもときシート』 (認知症ケア高度化推進事業 ひもときネットhttps://www.dcnet.gr.jp/retrieve/) は有用であり、状況の整理にも役立つ。

少しでも認知症の方が、穏やかに心地よい生活が継続できるよう、その思いに耳を傾けながら診療することを心がけたい。

 

ゆみのハートクリニック

吉本 明子

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