Clinical Question:BPSDへの対応が在宅療養継続のカギ
1. 認知症は物忘れなどの中核症状以外に、BPSD(Behavioral and Psychological Symptom of Dementia)と呼ばれる症状がある。
2. BPSDは認知症患者が自宅療養を継続できるかのカギになる。
3. 治療を開始する前に、薬剤性BPSDの除外が必要。
4. 認知症の原疾患、糖尿病の有無、鎮静・催眠作用の要否により投与薬物を使い分ける
認知症には記憶障害などの中核症状のほかに、①徘徊や焦燥、攻撃性などの行動障害、②幻覚などの知覚認識障害、③妄想などの思考内容障害、④うつなどの気分障害からなるBPSD(Behavioral and Psychological Symptom of Dementia)と呼ばれる症状があります。
認知症は「くらしの障害」と言われ、「ケア」の重要性が高い疾患で、BPSDでは身体疾患、居住環境への介入やケアの改善など非薬物治療が優先されます。その中で特に注意が必要なのは薬剤性BPSDです。抗認知症薬、H2ブロッカー、抗ヒスタミン薬、ベンゾジアゼピン系薬剤、三環系抗うつ薬は誘因となることがあるので、一度疑う必要があります。治療は抗認知症薬、抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬などが使用されます。また、抑肝散が焦燥性興奮に対して有効であったという報告もあり、高齢者では副作用の点から既存の抗精神病薬投与前に検討してもよいと思われます。
ゆみのハートクリニック
武居 講