在宅心不全医療におけるオンライン診療の可能性 ―D to P with N― オンラインvol.3

2020年05月21日

地域の訪問看護師さんから外来中に連絡がありました

「いま訪問看護が導入している80歳の独居の慢性心不全、高血圧の患者さんことで相談があります。地域のK総合病院に介護付き添いの元に定期受診をしていますが、このコロナウイルス感染症で総合病院からは外来を3か月毎にということで長期処方をもらいました。最近、血圧が少し高く、咳と浮腫みが出てきているのですが、独りで病院にも行けないので、まずは先生に診てもらいたいのですが、オンラインでの診療は可能でしょうか?」

 

 

これまで当法人は、心臓病患者さんが安心して過ごせるために、いくつかの社会活動をおこなってきました。そのひとつに「ハートケアステーション 」があります。わたしたちの目の前の患者さんだけではなく、地域で困っている循環器非専門の医師や訪問看護師さんへの無料相談をクラウド上で行っております。

いま、新型コロナウイルス感染症により対面ではなく、オンラインでの診療の有用性がとりあげられています。

今回私たちは、この「ハートケアステーション」と「オンライン診療」を組み合わせた、在宅心不全患者への 「D to P with N」での新しい医療のかたちの提供をはじめています。それは、重症心不全をもつ患者を中心に年間1000例以上の在宅医療を提供してきた当法人の持つノウハウを活かすことで、専門性を保ちながら、目の前ではない患者や地域の医療看護職へ手を当てるシステムとなり得ると考えています。

つまり、「D to P with N 」とは、患者の同意の下、患者(P)は看護師(N)等が側にいる状態でスマホやPCなどで医師(D)のオンライン診療を受け、医師が専門的な診療の補助行為を看護師等に指示することで、検査や治療行為を看護師等を介して可能となるものです。

在宅の現場で、訪問看護師が実施可能な内容としては、医師の診療計画及び訪問看護指示書に基づき、オンライン診療を通して、診療の補助行為(身体所見、検査、治療、療養指導など)を行うことが可能である。

これは看護師(N)ではなく、非専門医師(D)への対応も可能となります。つまり「専門D to P with非専門D」という構図となります。

とくに専門性の高い心不全医療において、これらが広く実現されることにより、医療を受ける患者家族だけではなく、医療を提供する地域医療介護スタッフにとっても安心感が生まれることにより、地域においてもより質の高い医療提供、しいては豊かな在宅療養が実現できると考えます。

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弓野 大

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