PSGのAHIと簡易検査のREIが著しく乖離した症例

2025年04月04日

症例

50歳台  身長:161㎝ 体重:83kg BMI32 数年前から高血圧を指摘されるも放置、糖尿病・脂質代謝異常・肥満等もあることから、簡易検査を施行したところ、REI=9.2、仰臥位REI=27.6だったため、診断PSGを行いました。

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その結果AHIは45.3回/時間と簡易検査結果と大きく乖離しました。通常簡易検査のREIは3%ODIに依存します。この症例の簡易検査の3%ODIは9.2回/時間でした。ところがPSGの3%ODIは50.5回/時間と5倍も高値だったのです。これだけの差の原因パルスオキシメータの測定アルゴリズムの違いかもしれません。PSGではパルスオキシメータ測定値の移動平均時間は4拍以下が推奨されていますが、簡易検査の場合、移動平均が8拍だったり、通常は4拍でもノイズが混入すると1時的に長い移動平均に変えるなどの措置が取られています。したがって、簡易検査のODIが過小評価されている可能性はありそうです。またこの症例はレム潜時が遅延して、レム発現は1回のみでした。極端な中途覚醒もなく、このようにレムが抑制されるのは、抗うつ剤等の服用がない限り考えにくいことです。経験的にSAS発症から長時間が経過していることが考えられます。




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記録前半の仰臥位時のPSG波形です。頭位はわずかに右に傾けていますが、閉塞性低呼吸が連続して記録されています。 




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同じく体幹は仰臥位ですが、頭位は右に強く向けており、SpO2の変動はあるものの、明確な低呼吸イベントとなっていません。このような所見もあって、簡易検査との乖離が生じた可能性があります。 




ゆみのハートクリニック 川名 ふさ江

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