服薬により修飾されたPSG波形
症例
60歳台 女性 身長:152㎝ 体重:70kg BMI:30.3 ESS=11喘息にて当院通院中、日中過眠と寝つきが悪く家族からいびきも指摘され、簡易検査を施行、REI=34.7で、診断PSGを行いました。
レンドグラフからはdesaturationは一過性で、レム睡眠の仰臥位時に強く認めました。結果は、AHI=25.5回/時間と簡易検査時より若干低値となり、いびきが仰臥位では高度に記録されていました。レム潜時の遅延とレム睡眠が13%と減少しています。睡眠の分断が強く、覚醒反応の原因は緑色の呼吸イベントと黒色の脚動であることがわかりました。SpO2のベース値を見ると前半の仰臥位では92~93%、後半の右側臥位では95%でしたので、やはり肥満低換気の傾向があるようです。40年間の喫煙歴も低換気に関与していると思われます。心療内科にも通院中でSSRI(レム潜時の遅延・レム睡眠の減少)やベンゾジアゼピン系の抗不安薬(脳波に速波混入)を服用されており、その影響がPSG波形と結果に出ていました。
記録前半の仰臥位時のPSG波形です。Desaturationが判定されても、呼吸イベントは判定されていません。簡易検査のほうがやや重症だった理由は、このdesaturationが原因だった可能性があります。急激なSpO2の戻りがないことは、呼吸イベントによるdesaturationとはせずに、ほかの要因を考慮する必要があります。BMIが高値である、喫煙している、中枢神経系の服薬があるなどは低換気の要因となります。
入眠直後の睡眠脳波です。過剰な睡眠紡錘波がみとめられました。
ゆみのハートクリニック 川名 ふさ江