Desaturationを伴わない曖昧な閉塞性低呼吸の判定に悩んだ症例
症例
30歳台 男性 身長:180㎝ 体重:82kg BMI:25.3 日中過眠の自覚があり家族からもいびき指摘され、他院にて簡易検査を施行、REI=18.7で当クリニックを紹介受診されました。
トレンドグラフからはdesaturationは目立たず、軽症の無呼吸と考えられましたが、結果は、AHI=22.3回/時間と中等症の無呼吸がありました。睡眠周期は乱れており、レム潜時は延長、レム睡眠は9.2%、深睡眠も3.4%と減少していました。睡眠の分断が強く、覚醒反応の原因は緑色の呼吸イベントと黒色の脚動であることがわかりました。1回目のレム睡眠は側臥位だったことで呼吸イベントは抑制されたと考えられますが、2回目は仰臥位でもイベントはわずかで、desaturationは認められませんでした。逆にノンレム睡眠では側臥位でも呼吸イベントを認めており、典型的なOSAとかかなり異なる結果でした。
朝方のノンレム睡眠左側臥位時の閉塞性低呼吸イベントの波形です。大半がdesaturationを伴わず、気流振幅の低下と覚醒反応を伴うことで判定されています。よく見るとflow limitation ははっきりせず、胸腹の呼吸努力波形はほぼ同位相になっています。このようなあいまいな呼吸イベントでも、CPAP治療に適合するのか不安が残ります。まずはCPAP治療に取り組んで、効果が見られなければ、速やかにマウスピース治療に変更します。CPAP治療の効果については、改めて報告いたします。
ゆみのハートクリニック 川名 ふさ江