仰臥位やレム睡眠で呼吸イベントが抑制された高度肥満OSA症例

2025年01月31日

症例

30歳台 性 身長:168㎝ 体重:90.5 kg BMI:32.2 ESS:12 家族からいびき・無呼吸の指摘あり、耳鼻科で簡易検査を施行REI=35回/時間の結果で、精査目的に当院を受診されました。
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診断PSGを行ったところ、AHI=34.5回/時間と簡易検査とほぼ同様の結果となりました。上のトレンドグラフからはレム睡眠時のdesaturationがあまり目立たず、体位を見てもレム睡眠は常に仰臥位でした。そしてノンレム睡眠の左側臥位で朝方閉塞性低呼吸が頻発していました。さらに奇妙なことに、ノンレム睡眠の仰臥位では、中枢性無呼吸や混合性無呼吸が連続して認められています。




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ノンレム睡眠の仰臥位時に認めた中枢性無呼吸の連続波形です。呼吸イベントにともなうdesaturation波形がサイン波様であることも中枢性イベントであることを裏付けています。 





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朝方のノンレム睡眠左側臥位時に認めた閉塞性低呼吸波形です。Desaturationは3%未満であることも多く、判定に悩むところですが、呼吸努力センサーは明らかに低振幅で、鼻圧センサーもflow limitationとなっていますので低呼吸と判定しています。なぜ典型的なOSA症例とは異なる病態を示すのか、理由を考えてみました。ノンレム睡眠の中枢性無呼吸は、呼吸中枢の不安定性(ループゲイン亢進)にともなうものであり、レム睡眠では行動調節系の支配が優位となるので、呼吸中枢の不安定性がマスクされていると推測しました。まずはCPAPによる改善効果を注意深く見守っていきたいと思います。 







ゆみのハートクリニック  川名 ふさ江

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