簡易検査と大きく乖離したPSG結果の原因を考察する
ゆみのPSGケースカンファは、毎週金曜日に法人各拠点をオンラインでつなぎ、川名ふさ江睡眠検査統括を中心に、医師、 臨床検査技師(うち日本睡眠学会専門検査技師5名)で一週間の全ての終夜睡眠ポリグラフ検査の振り返りを行い、今後の方針を決めていきます。 こちらにはその週の代表的な症例を公開し、川名統括による症例コメントを記していきます。
症例
40歳台 女性 身長:163㎝ 体重:91.2kg BMI:34.3 30歳台からいびきの指摘あり、精査希望で来院されました。
体重は20歳時より40㎏増、日中過眠も強くESSは18点と高値です。簡易検査を施行したところ、REI=9.0 3%ODI=9.0の結果でした。上の図は簡易検査のトレンドグラフになります。SpO2最低値が80%と低値だったこと、および日中過眠の症状も強かったので、診断PSGを行いました。
PSGのAHIは48.9と簡易検査の5倍以上になりました。簡易検査のREIは3%ODIに依存するので、3%ODIを比べてみると、簡易検査の9に対してPSGは25.6とODI自体も大きく乖離していました。またPSGではAHIは3%ODIの2倍となっています。つまりPSGの呼吸イベントの半数は、2%程度のSpO2低下でも気流振幅の低下と覚醒反応で判定されていたことになります。体位は簡易検査もPSGでも側臥位が多く、差がありませんでした。ここで問題は、PSGと簡易検査装置の3%ODIの差になります。酸素飽和度測定の移動平均時間が短いほうが正しい低下を示すことになる一方で、体動等のアーチファクトで測定トレンドは見苦しくなってしまうため、簡易検査装置ではそれをマスクするためにアーチファクト除去機能が搭載されています。それらがPSGとの乖離の原因かもしれません。
ゆみのハートクリニック 川名 ふさ江