10年経過で超重症化したOSA症例

2024年08月09日

症例

60歳台男性 身長:158cm 体重:63.2Kg BMI:25.2 ESS:6 10年前にSASと診断されAHI=18/時間でOA作成、いびきには効果あったものの、歯科治療でOAが合わなくなりそのまま中止され、熟眠感の欠如とRLS症状もあり他院受診、簡易検査でREI=33/時間 SpO2最低値71%の結果で当院を紹介受診されました。
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診断PSGでAHI=66.1回/時間と超重症の結果となり、側臥位でも呼吸イベントが抑制されていないことがわかります。極端な体重増加があったわけでもなく、なぜここまで重症化したのか、考えてみました。無呼吸の要因に4つのフェノタイプがありますが、まず解剖学的要因なら体重増加があるはず、残りは覚醒閾値の低下(覚醒反応指数=68.6/時間)、上気道筋の代償性低下(加齢との関係強い)、ループゲインの亢進(覚醒時から不安定呼吸を認めdesaturationもあり+朝方の混合性無呼吸増加)がありますが、これらが加齢(10年)により複合的に作用した結果といえそうです。 



②.png記録開始時の波形です。不安定な呼吸に伴ってdesaturationを認めています。これ以外にも覚醒時に中枢性無呼吸がdesaturationを伴って散見されました。 




③.png朝4時頃に認めた混合性無呼吸波形です。中枢部分が長く、これもループゲインの亢進を示唆する波形です。このような波形が観察された場合、CPAP治療では中枢性無呼吸が誘発されやすく、CPAP圧の急激な上昇には注意する必要があります。オート設定の場合は、圧上昇がマイルドな機器を選ぶことが推奨されます。 




ゆみのハートクリニック 川名 ふさ江

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