若年者でBMIが低値にもかかわらず重症のOSA症例
症例
20歳台男性 身長:180cm 体重:66Kg BMI:20.4 ESS:2 15歳ころからいびき・無呼吸を指摘され、耳鼻科にて簡易検査でREI=23.3と診断され、紹介受診されました。
診断PSGの結果はAHI=31.3回/時間と重症の結果となり、BMIが低値にもかかわらずSpO2は大きく低下しています。入眠前と中途覚醒時に2回眠剤を服用されています。1回目の服薬後の入眠時の呼吸イベントは、まるでレム睡眠時のようにOAやOHイベントのSpO2が、呼吸再開してもベースに戻らず、低下を繰り返しています。これは呼吸イベントに低換気がオーバーラップした状態と考えられます。また中途覚醒後、右側臥位で深睡眠になった時には、SpO2が86~87%で推移していました。センサーのアーチファクトを考えましたが、装着状態に問題ないことを夜間技師が確認しています。朝方右側臥位になった時にも、90%前後の持続的なSpO2低下を認めました。
入眠期の閉塞性無呼吸と閉塞性低呼吸波形です。イベントの持続時間が長いためSpO2低下も高度で、呼吸再開しても回復は92%前後です。肥満OSA症例では、低換気が重畳しやすいレム睡眠期にこのようなSpO2変動が観察されますが、本症例はやせ形のOSAでした。
中途覚醒時に2回目の眠剤を服用されたあと、右側臥位で深睡眠となった時のSpO2値は、85~87%で推移していることがわかります。呼吸は安定していますが、持続的なSpO2低下は、やはり低換気が原因と考えられます。しかし本症例は飲酒も喫煙歴もありません。側臥位といっても右側臥位でSpO2低下は強く、呼吸疾患の有無を調べる必要があります。可能性としては、やせ型の若年者なので、気胸などの疾患によるものが考えられます。追加の検査を行い、診断が出れば続報として報告いたします。
ゆみのハートクリニック 川名 ふさ江