診断時ループゲイン亢進が疑われた症例のCPAPタイトレーション

2024年07月12日

症例

60歳台男性 身長:168cm 体重:81.7Kg BMI:26.9 当院診断PSGでAHI=46.5回/時間と重症の SASと診断され、また覚醒と睡眠を繰り返す時には周期的な呼吸振幅の変動や中枢性無呼吸も散見され、ループゲインの亢進が示唆された症例です。 


<診断時のトレンドグラフ>

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<診断時の呼吸イベント波形> 

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中途覚醒後再入眠時の中枢性無呼吸(赤)と中枢性低呼吸(ピンク)を示します。最も呼吸が不安定になるタイミングに中枢性呼吸イベントが生じることは、生理的にも起こりうることですが、このようにdesaturationを伴っている場合は、呼吸イベントとして判定する必要があります。そしてこの現象はCPAPのスムーズな導入を妨げる要因となる可能性があります。



<CPAPタイトレーション時のトレンドグラフ> 

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診断時の結果からCPAPを導入(オート4-10cmH2O)するも、息が吐きづらい、圧が強くて覚醒してしまうなどの訴えで、アドヒアランス不良のため、CPAPタイトレーションを行いました。診断時に予想されたとおり、中途覚醒後の再入眠時に中枢性無呼吸や中枢性低呼吸が残存する結果となりました(残存AHI=11.8中枢性AHI=10.6)。CPAPは中枢性イベントでも圧が上昇しており、閉塞性イベントは十分治療できているので、まずは上限圧を抑え4-7㎝H2Oで使用継続となりました。 



<タイトレーション時の呼吸イベント波形> 

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診断時よりさらに持続の長い中枢性無呼吸が生じています。この時のCPAP圧は9.6㎝H2Oでした。中枢性イベントの呼吸波形に周期的な変化が混在していますが、それは呼吸イベントを閉塞性か中枢性かを鑑別するために、CPAP本体から発生する信号です。閉塞性イベントと間違えやすいので気を付けましょう。




ゆみのハートクリニック 川名 ふさ江

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