呼吸イベントは軽症でもESSが20点の症例

2024年06月28日

症例

20男性 身長:175㎝ 体重:73.2Kg BMI:23.8 家族からいびきの指摘あり、日中過眠(ESS=20)、入眠困難、熟眠感欠如、トイレ覚醒2~3回を主訴に来院。診断PSGを行いました。

7月2日①.png
通常の睡眠時間は2時から9時と睡眠相が後退、22時ころ就床しても1時ころまで寝付けないとのことですが、PSG施行時は21時消灯で睡眠潜時21分、覚醒反応はやや多めながら睡眠効率は92%、N1:12%、N2:49.5%、N3:20% REM:18.4%と睡眠変数は問題ありませんでした。レム睡眠時に閉塞性低呼吸を認めています。 




7月2日②.png
中途覚醒後の再入眠時の呼吸波形ですが、中枢性無呼吸(赤)や中枢性低呼吸(ピンク)のイベントがdesaturationを伴って出現しています。中枢性低呼吸は胸腹のRIPセンサが同位相で、鼻圧センサはflow limitationを認めていないこと、いびきもないことで判定しました。このような中枢性イベントは、トータルのAHIの3分の1を占めています。しかしレム睡眠では閉塞性低呼吸を認めていますので、マウスピース治療の適応例と判断できます。 

ただこのPSG結果だけでは、ESS=20の説明がつきません。主訴とPSG結果が乖離していることが気になります。21時台でも入眠可能、トイレ覚醒はなく、睡眠効率や睡眠構築は全く問題ない結果から、睡眠状態誤認の可能性も示唆されます。また環境変化による精神生理性不眠もあるのかもしれません。マウスピース治療で主訴の改善を認めなければ、認知行動療法等の可能な睡眠専門クリニックの受診をお勧めします。 



ゆみのハートクリニック 川名 ふさ江



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