Clinical Question:腹膜透析(PD):生活の場で行う透析

YUMINO education program2025年06月26日

腹膜透析(PD)は、腹膜を透析膜として体内で血液を浄化する治療法です。
透析液を注入し、一定時間保持した後に排出することで老廃物や余分な水分を体内から除去します。

一般的な血液透析(HD)は週3回病院への通院が必要となるため生活への影響が大きいですが、PDは自宅や職場で実施することができ通院が不要なため患者さんのQOLを維持しやすい透析の方法です。
食事制限が比較的穏やかで残腎機能も保たれやすいというメリットもあります。
しかし、日本では全透析患者におけるPDの割合は3%と世界各国と比較して(香港70%、欧州・カナダ20-30%、アメリカ10%)低いのが現状です。
PDは長期継続が困難(5~10年)であるため基本的にPDのみで透析を全うすることはありません。
PDから開始しHDに移行する方法 (PDファースト)もしくはHDからPDに移行する方法(PDラスト)がとられます。

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透析患者さんの高齢化に伴い今後透析に通えなくなる患者さんが増加することが見込まれます。
透析に通えなくなったHD患者さんの中には透析を中止し人生の最期を自宅で過ごすことを選択される方もいらっしゃいますが、透析を継続し生きていくためには自宅を離れなければなりません。
一方、PDは自宅で継続することができるため最期まで住み慣れた自宅で過ごすことも可能です。
つまりPDラストは「最期まで自宅で過ごしたい」という患者さんの受け皿になることができます。
もちろん、PDラストにも課題はあります。PDラストの患者さんは自身で手技を行うことが難しくなることも多いため、自己管理ができなくなったPD患者さんをどのように支えていくかを考えなければなりません。

透析患者さんも最期まで住み慣れた環境で過ごせることを願っています。そのためにはPDの普及、あるいは自己管理できなくなったPD患者のサポート体制の整備などが課題だと考えています。



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