Clinical Question：冠動脈閉塞を伴わない心筋虚血 （INOCA)とは？
狭心症症状を有する患者の約半数は、冠動脈に器質的な閉塞病変を有さないことが報告されている。2017年に米国から冠動脈閉塞を伴わない心筋虚血（ischemia with non-obstructive coronary artery disease: INOCA)という疾患概念が提唱された。
INOCAにおける2大成因が、冠攣縮と冠微小循環障害（coronary microvascular dysfunction：CMD）であり、冠攣縮とCMDの単独あるいは組み合わせで心筋虚血を引き起こす。
閉塞病変がないため、非心臓性胸痛と診断されることも多いが、中にはINOCAと診断され、治療必要であり、予後不良の群が隠れていると考えられる。
INOCAという疾患概念は徐々に周知されてきているが、診断、治療に関するエビデンスはまだ不足しているのが現状であり、今後の新たな研究が期待されている。
のぞみハートクリニック
嘉悦 泰博
