Clinical Question:在宅での感染症治療
- 在宅で頻用される抗生剤にセフトリアキソンがあるが、緑膿菌には効果がないことは認識しておく必要がある。
- 高齢者の感染症では肺炎の頻度が多い。
- 2019年ATS/IDSA成人市中肺炎ガイドラインでは誤嚥性肺炎か非誤嚥性肺炎かで治療を区別する
必要はないとされている。
理由①
成人の半数が不顕性誤嚥を起こしている。
理由②
誤嚥性肺炎は近年では嫌気性菌の関与は少ないとされており、口腔内の常在菌の一種である嫌気性菌を誤嚥性肺炎が疑われるからといって初期治療からルーチンでカバーする必要はないと言われている(Lionel A. Mandell et al : Aspiration Pneumonia . N Engl J Med 2019; 380:e40)
- 市中肺炎の起因菌は肺炎球菌(30-40%と最多)、インフルエンザ菌など。COPD等の慢性肺疾 患、90日以内の入院歴、1年以内の緑膿菌の定着がある場合:緑膿菌が原因である可能性も考慮必要だが、ただCOPD患者の肺炎でも多いのは肺炎球菌やインフルエンザ菌であるためCOPDがあるという理由だけで初回抗生剤選択で緑膿菌カバーまで行うとやや過剰である印象をうける。
- 訪問診療を行っている患者さんのうち、CVポート留置後の患者さんで、2回菌血症を起こし、いずれも血液培養を採取していたことが抗生剤の選択や治療期間の決定などに有用であった症例を経験した。訪問診療では血液培養採取のための物品が車に常に搭載されているわけではないため悩ましいところではあるが、症例によっては、躊躇せず培養を採取することが望ましいと思われた。
- 訪問診療において、血液培養の結果の解釈には、スライドで示したような点に注意する必要がある。
のぞみハートクリニック
松岡 玲子