Clinical Question:神経難病と呼吸障害 ~Floppy Epiglottisという病態~

YUMINO education program2022年06月10日

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Floppy Epiglottisという病態は、吸気時に喉頭蓋が気道を塞いでしまうことで、吸気時の喘鳴、呼吸困難を呈します。喉頭手術や気管内挿管による損傷で発症することもあるようですが、国内では神経難病患者に併存するという報告が散見されます。

神経難病に併発する吸気時喘鳴の原因は複数ありますが、多くの場合でCPAPやNPPVという陽圧換気が有効です。ただし、このFloppy Epiglottis併存例ではそれらの陽圧換気の禁忌となるため、注意が必要です。使用開始前に、喉頭鏡検査を行って、上気道閉塞の原因を確認することが大変重要です。

治療法は気管切開による気道確保となりますが、進行した神経難病を持ち、寝たきり、コミュニケーションが難しくなった症例に、気管切開を行うかは悩む方が多いのでは無いでしょうか。

声門閉鎖と永久気管孔を造設する誤嚥防止手術は、局所麻酔でも行うことがある、比較的低侵襲な術式です。術後は上気道狭窄が解除され呼吸困難症状が緩和できることに加え、唾液の気道流入が無くなり、誤嚥性肺炎のリスク軽減と、吸引回数も大きく減少し介護負担軽減にもつながります。

このような手術は延命の意味合いよりも、気道狭窄や唾液誤嚥による呼吸苦の症状緩和として位置づけられ、人工呼吸器をつけるかどうかという問題とは分けて考えて良いと思います。

 

ゆみのハートクリニック

吉本明子

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