Clinical Question:びまん性汎細気管支炎
1982年エリスロマイシン600mg/dayで2年間治療後、胸部レントゲンや血液ガス検査で改善していることが確認された。
1991年厚生省研究班によって行われたプラセボとの二重盲検比較試験では①呼吸困難の程度、②胸部エックス線所見、③PaO2、④1秒量、⑤CRP、⑥早期喀痰量において臨床的有効性を確固たるものとした。
- びまん性汎細気管支炎は1969年に日本から初めて提唱された疾患で、東アジアで多く見られる疾患である。
- 以前は5年生存率42%、緑膿菌感染を併発すると8%と予後不良疾患であった。1982年にエリスロマイシンによる治療が効果的であることが確認された後、1991年厚生省研究班によって施行された二重盲検比較試験では5年生存率は89.9%と大幅に改善した。
- 治療前後では喀痰中の細菌叢に変化はないが、マクロライドは気道のあらゆる部分に作用し、炎症を抑えることで治療効果を発揮することが明らかになっている。
- びまん性汎細気管支炎の約90%はマクロライド療法が奏効するが、残り10%は難治性である。肺移植の適応疾患にもなっており、これまで脳死両肺移植で14人(5%)、生体肺移植で2人(0.8%)が移植を行っている。
のぞみハートクリニック
菊地泰基