Clinical Question:睡眠時無呼吸症とCOVID19
- 肥満は、新型コロナウイルス感染症(COVID19)重症化の重要なリスクファクターである。
- 一方で、睡眠時無呼吸症(OSA)は肥満者に併存していることが多く、フィンランドのデータでは、OSAは肥満と独立してCOVID19重症化の規定因子であることが報告されている。
- OSAは間欠的低酸素、交感神経活性などを介して、酸化ストレスや炎症性サイトカイン産生増大、血管内皮機能障害を惹起する。実際、肺毛細血管内皮障害は、無呼吸症の重症度と相関するという報告もある。OSA患者では、併存する肥満、糖代謝異常などとともに、COVID19重症肺障害の主たる原因であるサイトカインストームの準備状態が形成されていると考えられる。
- また、呼吸再開時の上気道の急激な開存が、大量の唾液誤嚥を引き起こし、病原体を下気道に招き入れてしまうため、スペインの報告では、無呼吸症重症度と一般市中肺炎の罹患率、重症度との相関が示されている。
<結語>
- OSA患者はCOVID19に罹患しやすく、重症化しやすいことが考えられる。
- CPAPによる重症化予防作用は、今後の重要な研究課題であるといえる。理論的には、上記の機序進展を防ぐ有効な治療法であると思われ、コロナ禍におけるCPAPアドヒアランスの維持、向上は、極めて重要と考えられる。
ゆみのハートクリニック
臼井靖博