Clinical Question:高齢者の肺非結核性抗酸菌症~治療介入するか?~
高齢者の肺非結核性抗酸菌症
- 肺非結核性抗酸菌症は1990年代から年々増加傾向でそのうち8割が肺MAC症(Mycobacterium avium complex)と言われています。
- 3剤併用(リファンピシン+エタンブトール+クラリスロマイシン)の高容量かつ長期間の治療が必要ですが、高齢者では特に副作用で内服困難となることも多く、再発再燃が多いことや耐性菌出現が問題となっています。
- 空洞病変がある場合や、結節気管支拡張型で病変部位が1/3をこえている場合、塗抹排菌量が多い場合などは早期治療介入のポイントですが、高齢者に対しての文献は多くありません。
- 肺MAC症の自然歴では、5年未満では悪化の可能性が少ないけれども、8-10年は9割以上悪化することから、余命が 5年未満の場合には経過観察が望ましいと考えられます。一方で治療効果は1,2年であるという文献もあり、少なくとも2年ごとに画像評価を行い、画像所見増悪時、あるいは発熱や喀血などの症状出現時のタイミングで治療介入を検討するのが望ましいと考えられます。
ゆみのハートクリニック渋谷
山上 文