Clinical Question:新型コロナウイルスワクチンのポイント
ファイザー社のワクチンの成績 N Engl J Med 2020;383:2439-50.
- 遺伝子ワクチンと呼ばれる最先端技術を用いたワクチン
- mRNAやDNAを直接注射するタイプとヒトに無害なウイルスを遺伝情報の運び屋(ウイルスベクター型)として使うタイプがある
- 発症抑制効果は非常に高いが、感染力を低下させることが可能かどうかは不明
- 注射後の発熱や倦怠感、筋肉痛などの頻度が比較的高い
- 小児、妊婦に関する効果および安全性のデータに乏しい
- 長期の効果に関するデータはないため、今後のデータの蓄積が必要
新型コロナウイルスの初めての報告から1年が経ちました。未だ終息の兆しはなく、むしろ急速に増加してきています。このパンデミックに射す一筋の光明としてワクチンの開発、臨床応用が急ピッチで進められています。その中で米国のファイザー、モデルナ、英国のアストラゼネカの3社のワクチンは遺伝子ワクチンと呼ばれ、ウイルス蛋白をコードする遺伝情報を直接注射するものです。治験におけるその効果は絶大で、ファイザー社の場合、プラセボ群に比し95%程度の発症抑制効果を示しました。しかしながら、第三者への感染力を低下させうるのかが不明なことや、小児や妊婦でのデータが不足していること、長期の効果に関するデータがないなど不明な点もあり、今後の海外での接種状況を十分に吟味することが必要と言えます。
ゆみのハートクリニック
西原崇創