Clinical Question:JSH2019を踏まえた高血圧症診療
- 降圧目標値は家庭血圧125/75mmHg未満とする
- 血圧測定は起床後1時間以内、排尿後、朝の服薬前、朝食前とし、就寝前は坐位1~2分の安静後に測定する。また、1機会につき原則2回の測定とする
- 飲酒・喫煙ともに血圧上昇の原因となる
- 特定保健用食品(トクホ)は効果の検証が不十分である
わが国では高血圧による脳心血管病死亡者は年間約10万人であり、高血圧者は4300万人とされています。収縮期血圧を10mmHg低下させることで、心血管疾患は20%、脳卒中は30~40%、冠動脈疾患は20%、心不全を40%低下させることが知られています。一方、収縮期血圧が120mmHg未満に降圧された場合、めまい、ふらつき、倦怠感、臓器障害などに注意が必要です。
生活習慣、特に飲酒に関して最新の研究では、以前言われていた少量摂取による死亡率低下は認められておりません。男性ではそれぞれ日本酒1合、ビール中ビン1本、焼酎半合、ウイスキーダブル1杯、ワイン2杯程度、女性はその半量程度に制限することが推奨されています。また、特定保健用食品(トクホ)は、ペプチド、杜仲葉配糖体、酢酸、γアミノ酪酸、フラボノイドといった降圧効果を有する成分が含まれてはいるものの、効果の検証が不十分であるため、過度な期待は禁物です。
ゆみのハートクリニック
工藤 雅人