Japan Healthcare Business Contest 2020
はじめまして、湯野川と申します。
私は、2年前に特発性拡張型心筋症と診断され、ゆみのハートクリニックに通院をはじめました。私自身、システムエンジニアとして新卒入社し、神戸から上京して本格的に仕事をはじめようとしていたところでしたが、致死性不整脈による心肺停止状態となりました。
幸運にも病院の目の前ということもあり、心肺蘇生から回復し、いまは植込み型除細動器治療をうけ、また元気に過ごすことができています。さまざまな不安を抱えながらも生活を再開するなかで、ゆみのハートクリニックのスタッフとのたくさんの触れ合いの中から、現在はご縁をいただき、ゆみのの一員となり、スタッフとしても関わりはじました。
自身が心不全という病気にかかり、また今は医療機関のスタッフとしているなかで、何かこの社会に貢献できることがないかを考えはじめました。
そこで、患者の立場から、日常生活のなかで「塩分制限」をどのように行うかが、ひとつの課題でありました。そこで立ち上げたのが『さがそると』というサービスです。
この『さがそると』が、2020年1月に行われました経済産業省主催のジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト2020のファイナリストに選出していただきました。 今回はこの場を借りて、『さがそると』について、そしてビジネスコンテストの最終審査会を振り返りたいと思います。
■ 塩分管理は結構つらい
心不全を抱えながらの生活で負担となる項目は様々だと思います。私の場合は食事管理です。
私が塩分管理をつらいと思う理由は次の2つです。
- 塩分制限はメジャーではなく、補助ツールや減塩仕様の食品もまだまだ少ない
- 『これってこんなに塩分高かったの!?』という食べ物が多く、塩分を意識すると食べられる選択肢が少ない
私のように食べることが大好きな人間にとっては、食事が楽しみから負担に変わってしまったことは苦痛です。
画像認識による記録』と『記録に基づく食事内容の提案』で食べられる減塩生活を叶えるのが『さがそると』になります。
食事の提案内容や情報発信などにおいて、この日本で多くの重症な心不全患者をみているゆみのハートクリニックのスタッフの視点を取り入れることで、心不全を抱える人にとって本当に必要なツールを作り上げていきます。
■ さがそるとが実現したいこと
さがそるとは
- 減塩=美味しくないというネガティブイメージを世間からなくす
- 塩分管理を世の中にとって当たり前にする
という2つの目標を掲げています。
本コンテストの最終審査会の最後に、今後の政府の方針として、『そもそも病気にならない』『なっても重症化させない』『治療過程において社会から隔離しない』がキーになることが表明されました。『塩分管理を世の中にとって当たり前にする』ことは、これらの3つのキーすべてに当てはまります。
今回の最終審査会を経て、実現に向けてより一層努力していきたいという気持ちが強くなりました。
最終審査会では、スピーチ最後にサポートを表明する団体が札をあげるというシステムがとられました。ひとつもあがらないのではないかと不安でしたが、沢山の札があがりこれまで味わったことがないような感激をしました。
今回の経験を踏まえて、塩分管理がすべての人にとって当たり前になるようなサービスを実現するために、今後より精進していきたいと思います。
湯野川
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