Clinical Question:湿布って医学的に効果あるの?
湿布は厚生労働省からも処方枚数の制限が出るほど、日本で多くの患者様が使用している外用薬である。
貼付剤は紀元前1000年頃のバビロニア発祥と言われており、3000年の歴史がある。1970年代の日本で布と薬剤が一体化した、簡単に使用出来るパップ剤に発展。
現在は日本独自の治療の1つとなっている。
湿布のevidenceとしては急性期の外傷や変形性関節炎には効果があることが示唆されている(Phys Sportsmed.2010 Jun;38(2):62-70)。
ただし、痛みの評価は主観に頼っており客観的評価が難しく、海外での普及も限定的となっている。そのため科学的根拠はまだ十分ではないのが現状である。
一方湿布の安全性は比較的確立されている。湿布の有効成分は貼付した部分に留まり、血中への移行は少ない(平成16年3月21日Medical Academy News 第896号)。
そのため通常であればNSAIDsは腎機能低下や喘息のある患者様への使用が難しいが、湿布であれば使用可能である。実際に副作用としては喘息や消化管出血などの報告は殆どない。
ただし、同時に貼る枚数が増えれば血中に移行する成分が増えるので注意が必要である。
菊地 泰基