Clinical Question:非がん性呼吸器疾患緩和ケア指針2021
https://www.jrs.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=137
2021年、本邦ではじめて、「非がん性呼吸器疾患」の緩和ケア指針が作成されました。
従来、症状緩和と言えば「がん」が対象となることが多く、「がん」の緩和医療については、一般の方にも理解されるようになっていると思います。
2002年にWHOは緩和ケアの定義を発表し、その中で緩和ケアの対象は「がん」に限らないことが強調されました。
しかし、実際にはがんと比べて非がん疾患ではハード、ソフトともそのニーズにこたえられていないのが現状です。
我が国では、先に「循環器疾患」の症状緩和、特に「終末期心不全」の緩和ケアに関する整備が行われ、今回の「呼吸器疾患」へと繋がった形です。
このガイドラインでは、症状緩和が必要となる、病気の終末期、最終末期の定義にはじまり、WHOの提言にもあるように、緩和するべき苦痛は単に身体的なものではなく、心理社会的な、またスピリチュアルな問題までも含むことが総論として確認されています。
ガイドラインの中では、「がん」に比べて「非がん性呼吸器疾患」のほうが、終末期の呼吸困難感、咳、抑うつ、不眠、といった症状が多いことが述べられています。それらを含む苦痛に対して、支援の目標、チーム医療、意思決定支援、非薬物療法、薬物療法、死後の家族ケアなどが、具体的に示されています。
どの疾患でも、また病気がなくても、人生には必ず終末期があります。人生の最後の時間を、尊厳を保ち、安心して穏やかに過ごせるように支援することは、とても大切なことです。
ゆみのハートクリニック渋谷
鮫島光博