COVID-19関連で患者さんおよび医療従事者の不安やストレスの対処方法
1.不安をもつ患者さんへの対応
最近、新型コロナウイルス関連で不安にかられて電話頻回になる患者さんが多くなっています。強い不安には薬物療法(抗不安薬やSSRI)が必要となることもあるのですが、薬物療法以外に、一般的におすすめ対処法が示されていますので、患者さんへの電話対応の折に、参考にしてもらえたらと思います。
▶ 終日新型コロナウイルスのことを考え続けるという状態から抜け出すためのアドバイス:
- こういう時期だからこそ昼夜のリズムを整え、栄養のある食事をとることが重要とつたえる(免疫機能をたかめておくことが新型コロナウイルスから身を守るのに重要ですよ、と説明すると、一生けん命やってくれることが多い)、
- ご本人の趣味趣向にあわせて楽しみになること、リラックスできる活動をすすめてみる(音楽をきく、塗り絵をする、ストレッチなど。もともとお好きなものがおすすめ)。
- 別居の家族、親戚、友人と、直接会う以外の手段で連絡を増やすことをすすめてみる(こういう時期こそ、古いなじみと互いに励まし合うことが重要ですと伝えて、昔の友人に手紙を書いてみるなど)
- テレビの前で過ごし、新型コロナウイルスに関するニュースを見続けることは、不安をかきたてるのでおすすめできません。マスコミシャワーと呼ばれる情報過多が問題になっています。(テレビからの情報はすべてが確実なものではないからと説明し、正しい重要な情報はゆみのからしっかり伝えますね、と説明する。ご本人の趣味にあう番組など)。
2.医療従事者のストレス対処
患者さんと同様に医療従事者もストレスを抱えて過ごしています。ストレスへの対処法について参考にいただければと思います。
- 困難な状況でストレスを感じるのは、人として正常な反応。
ストレスを感じるのは弱いからとか、仕事ができないから、と考える必要はありません。ストレスに圧倒される感覚があるとしても、それは強い責任感をもって仕事しているからにほかなりません。
- 自分のストレスに気づくことが大切。
- 分の心と体の声に耳を傾けてください。普段と違う体調やこころの状態になっていることを知っていることが大切です。
- 身体のケアをする
生活リズムを崩さず、十分な食事や睡眠をとりましょう。ストレッチや、オフの日には運動を取り入れてください。
- 仕事以外の生活を大切にする
電話やSNSで連絡を取り合い、社会的なつながり、互いにサポートし合うことを大切にしましょう。
- 職場での自分の役割について、立ち止まって考える。
自分の役割について振り返り、自分が自分に過度の要求を課していないか、考えてみましょう。
- ためらわず援助を求めましょう。
援助を求めるのは弱いからではなく、プロとして自分を保っていくために周囲へ援助を求める力を持ちましょう。きつい時はお互い様です。
- 同僚同士のサポートがなによりの力。
思いやりのある職場、互いを労うあたたかい言葉かけ。目的意識をもって、価値ある仕事に取り組めていることを、互いに認め合いましょう。
精神科
赤穂理絵