心不全診療ガイドラインかかりつけ医向けガイダンス

2019年04月03日

2019年3月日本心不全学会より心不全診療におけるかかりつけ医向けガイダンスが出版されました。本ガイダンスは、九州大学筒井教授・大阪大学坂田教授らが中心となり策定され、その作成メンバーとして参加させていただきましたので、その内容について概説させていただきます。 2018年3月に急性・慢性心不全診療ガイドラインが発行されましたが、その専門的な記述が多くされていました。 これからの超高齢社会において心不全は一般的な疾患となり、非専門のかかりつけ医の先生方が地域で多くかかわる疾患となります。このため、この心不全診療ガイドラインをより分かりやすいように改訂し、有効活用していただけるように作成しております。

本ガイダンスは、心不全診療の「診断」「治療」「予防・管理」「管理に有用な情報」を大項目として説明しています。例えば、「診断」については、「心不全の診断チェックリスト」が新たに作成されています。症状、身体所見、心電図、レントゲン、BNP測定値などから心不全の診断および専門医紹介までの道筋が記載されています。

 

また非専門の先生方が治療で悩むポイントをQ&Aの方式で解説しています。

  • Q「β遮断薬の使い分け」

  カルベジロールとビソプロロールの違い

  • Q「抗アルドステロン受容体拮抗薬の使い分け」

  エプレレノンとスピロノラクトンの違い

  • Q「ループ利尿薬は複数あるが、詳しい使い方は?」

  短時間作用型および長時間作用型利尿剤の使い方

  • Q「心臓再同期療法(CRT)とは?」

  ペースメーカーやICD、CRTDなどの植込み型デバイスの違い

などを、図表などで丁寧に説明をしています。

さらに本ガイダンスでは、ガイドラインには記載のない「心不全管理に有用な情報」として

  • 心不全患者で利用できる社会資源
  • 在宅医療
  • 運転免許証
  • 非心臓疾患に使用される注意を要する薬剤

なども、記載されています。

本ガイダンスは、心不全診療を専門に行う循環器専門医の視点から、かかりつけ医の実地医家の先生方に知っておいていただきたいポイントを分かりやすく描出しています。

是非、これからの日常診療のお役立てになれればと思います。

 

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参考

   

弓野 大

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