心不全が進行してきたときの症状は?
心不全というと、「息切れがする」や「呼吸が苦しい」というものが、代表的な症状と考えられています。しかしながら、癌や呼吸器疾患と同様に、他にも多くの症状を伴っています。
心不全という病気は、心臓のポンプ機能障害による症候群となります。このため、まずはその症状をいかに緩和しながら、生活の質を保つか、が治療の目的となります。2015年のNew England Journal of Medicineに、各疾患が進行した状態で起こる様々な症状の割合、が報告されていました。 そこには心不全の末期状態の症状について示されています。そのグラフをみると、心不全では「息切れ」や「倦怠感」、「痛み」の割合が多いことがわかります。進行した心不全患者のうち、息切れは90%、倦怠感も90%と高頻度で出現し、また痛みも75%程度でみられます。他にも50%程度で食欲低下や嘔気、便秘、不安を感じており、心不全をもつ患者さんは、息切れなどの呼吸器症状以外にも、多彩な症状を起こすことが分かります。
私たち医療者は、これらの症状にひとつひとつに耳を傾けてきくことから、診療がはじまり、治療やケアを行う、そんなことを考えながら日常診療を行っていく必要があります。
参考文献
- Kelley AS, Morrison RS. Palliative Care for the Seriously Ill. N Engl J Med. 2015;373:747-55
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