研修医地域医療研修/J医師
ゆみのハートクリニックを選んだ理由
もともと循環器内科に興味があり、在宅・地域での循環器疾患をもった患者さんの医療を知る必要を感じており、ゆみのハートクリニックが心不全患者の在宅医療に力をいれていたため、研修先として選択しました。
研修内容
地域医療研修として、一か月間ゆみのハートクリニックで研修する機会をいただきました。
具体的な研修内容としては、主に上の先生方の訪問診療に同行し、診療の見学、補助などを行うことでした。その他、クリニックでの外来の見学、訪問リハビリ同行、管制塔見学、抄読会参加などを行いました。
研修を終えて
ゆみのハートクリニックに勤務するドクターは循環器内科の先生が多く、心不全の在宅管理に力を入れておられました。弓野先生は心不全の管理について、生活をしっかりみることの重要性を強調しておられました。事実、何度も心不全入院を繰り返していた患者さんがゆみのハートクリニックの訪問診療を開始した後、入院の頻度が減った事例がありました。また、個人的な経験として、東京女子医科大学病院循環器内科での研修中に心不全で入院した患者さんが、治療の結果病状が改善し退院した2週間後に、塩分過多が原因と思われる心不全増悪で再度入院となったことがあり、先生方が自宅での生活の重要性について話していたことが印象に残っています。
訪問診療体制について、ゆみのハートクリニックでは工夫されたシステムが構築してされていました。患者さんやご家族、ケアマネなどからの電話を受ける看護師を主体とした管制塔があり、重症度や医療の必要性を考えたトリアージで効率化、個々の職種の負担軽減が実現されており、継続性の面でも非常に優れたシステムだと感じました。
また、毎週金曜日に行われる抄読会や、心エコーの勉強会などで、最新のエビデンスを取り入れる機会や、個々の症例について専門のドクターを招致して、多職種で検討する機会を設けており、医療のレベルを保つ努力に感銘を受けました。
今回の研修で最も印象に残っているのは、医学的な問題というよりは、社会的な背景に問題を抱える患者さんでしたが、数年前に旦那さんを亡くされた独居の高齢女性でした。不定愁訴で頻回にコールのある方でしたが、緊急の往診に同行した際に、診察時には症状は落ち着いていましたが、「寂しさがどうしようもできない。日中友達と食事やコーヒーをとっているときはなんでもないけど、夜自宅に一人でいるときが耐えられない」とおっしゃっていました。超高齢化社会の到来、核家族化とともに、上記のような高齢独居の患者さんが増えるなか、医療に携わるものとしてどうかかわっていくか、福祉とどう連携していくかが今後の課題になると考えられました。
全体を通して、多くの先生方、リハビリや看護師の方のお話をうかがうことができ有意義な研修となりました。この場を借りて御礼申し上げます。