介護職を経て、現職へ
介護職から医療ソーシャルワーカーへ。 人生の選択に関わる仕事に、 誠実に臨みたい。
介護職を経て、現職へ
ソーシャルワーカーとしては一番若手ながら、YUMINOでの職歴が長く、落ち着いた仕事ぶりでチーム医療をけん引。半年間、厚労省への出向を経験したことが一段視座を上げるきっかけに。診療報酬が際限なく使えるわけではない国の財政状況から、在宅医療に求められていることの重みを感じながらソーシャルワークを行っている。
「家に帰りたい人が、どうしたら帰れるのか」を
ソーシャルワーカーとして支援したい。
学生時代に社会福祉士の資格を取得した後、有料老人ホームで2年ほど介護の仕事をしていました。施設の入居者さんの中には「家に帰りたい」と頻回に訴える方がいました。見渡してみると、自分で身の回りのことができるのに、なぜ施設に入居されているのかな、と思う方もいらっしゃいました。介護職の役割は入居者さんの日々の生活のケアがメインで、今後どのように過ごしていきたいか、といった意思決定に関わる機会はありませんでした。そのような中で、一人ひとりの家に帰りたいという思いはどうすれば実現するのか、家族の意向や身体の状態などの様々な要因について考えていた頃、YUMINOの医療ソーシャルワーカーの求人が目に入りました。
在宅医療を行うYUMINOなら、住み慣れた自宅での生活を希望する方に寄り添って支援することができるのではないかと思い、入職を決めました。
フラットな心とフラットな組織の力で
訪問診療の窓口として、新規で訪問診療利用の依頼を頂いた際は、まず初めに患者さんやご家族から今後のご要望を伺います。その後、診察までの間に、患者さんの病状の経過や生活、介護保険の状況などの情報を整理して医師に共有します。診療中の方も、体調の変化や、ADLの変化により生活に困難が生じた際は、地域のスタッフと状態を共有し、患者さんが生活を継続できるように、一緒になって対応方法を考えていきます。また、患者さんは、治療内容や今後の療養場所などについて、選択をしなければならない場面が多々ありますが、その際に、意思決定を支援することも大切な仕事です。認知症で身寄りがない方は意志を確認するのが難しいため、ケアマネジャー、訪問看護師、リハビリスタッフ、ヘルパーさんなど、 患者さんに関わっている多職種のスタッフから普段の患者さんの様子を教えてもらいます。 その上で、意思決定の際に、無意識に自分の主観や価値観が入ってしまうことがないように、意識してフラットな心で臨むようにしています。人生の選択の場面に関わるのは責任が重いですが、患者さんにとって何が最善なのかをいつも考えながら、誠実に対応したいと思っています。
YUMINOの特徴は、職種間に垣根がなく、スタッフ同士の距離感が近いことです。「〇〇さんの生活に問題がありそうだけど、どうしたらよいか」など医師から相談を受けることも多々あります。ソーシャルワーカーは毎回診察に同行しないため、なかなか診察時の様子が分からないこともありますが、訪問診療コーディネーターに聞くと驚くほどたくさん情報を教えてくれますし、医療事務スタッフからは診療報酬についてよく教えてもらっています。看護師とも患者さんのことでよく相談しています。そのようにチームで連携して患者さんに接しています。
診療報酬に算定されない職種をあえて組み込む
このチーム医療を、広く発信したい。
じつは、ソーシャルワーカーの仕事の多くは診療報酬で算定されません。ですが、YUMINOでは開院当初よりソーシャルワーカーを重要な職種としてチーム医療の一員に組み込み、患者さんのその人らしい人生を実現のために、社会資源の活用や地域との連携、チームビルディング等を行ってきました。そのため、学会などの場で日々の業務について伝えていく必要を感じています。また「家に帰りたい方が1人でも多く帰れるように支援したい」という想いは今も変わらず、独居の患者さんの研究を進めています。一人暮らしの高齢者がどうしたら自宅で過ごせるのか、スタッフにヒアリングして、過去の症例から共通点や問題点を探った調査結果をまとめる予定です。このように新しいことに取り組めるのは、組織全体に、「やりたいことがあれば積極的に挑戦していいよ」という雰囲気があるからではないかと思います。
研修制度も整っており、入職1年目に数日間のソーシャルワーカーの基礎研修に参加し、医療分野のソーシャルワークについて体系的に学ぶことができました。現在、社会福祉士として他の職種に従事していても、医療ソーシャルワーカーの仕事に興味があれば、新たに学び、チャレンジができる環境だと思います。今後は、より広い視野で患者さんを支え、より多くの方の生活をサポートする医療ソーシャルワーカーに成長したいです。